FOUNDATION 02 / ROLE DESIGN
AI社員は「人数」ではなく、責任が衝突しない4役でつくる
役職名を増やして会議をさせても、売上につながる仕事は増えません。小さな会社では、成果物を作る役、疑う役、外へ出す役、結果を数える役を分ければ十分です。常駐エージェントではなく、必要な時だけ役割を起動します。
役割1:調査・制作
調査・制作役は、承認済みのテーマと入力から、根拠を集め、成果物の初稿を作ります。対象は記事、診断結果、商品更新案、返信案、改善仮説などです。完成品を公開する権限は持ちません。使用した情報源、判断できなかった点、仮定、更新日を成果物と一緒に記録します。
この役の品質は文章の流暢さではなく、入力条件を守ったか、一次情報を確認したか、事実と推定を分けたか、次のレビューで検証できる形かで測ります。情報不足なら埋めずに停止することも正式な成果です。
役割2:独立レビュー
独立レビュー役は、制作時の会話や期待に引きずられない状態で成果物を検査します。事実、法務・ブランド表現、重複、アクセシビリティ、リンク、計測、承認範囲をチェックし、通過か差し戻しかを決めます。同じエージェントが自分の出力を読み直すだけでは、前提の誤りを見逃しやすいため、入力と評価基準を分離します。
レビューは好みの投票ではありません。「公開枠は承認済みか」「価格は正本と一致するか」「根拠のない実績を使っていないか」「CTAイベントに個人情報がないか」のように、失敗を具体的に定義します。重大項目が一つでも落ちたら次の状態へ進めません。
役割3:公開・納品
公開・納品役は、検証済み成果物だけを、許可された場所と上限の範囲で外部へ反映します。週3本までの記事、同意済み宛先への通知、承認済みページ枠の可逆的な実験などが対象です。価格変更、利用規約、checkout、DNS、OAuth、本番migration、返金、削除は毎回CEO承認に戻します。
この役は内容を勝手に修正しません。公開直前に差異が見つかった場合は制作工程へ戻します。公開後はURL、時刻、成果物ID、承認IDを記録し、取り消し方法がある変更では復帰手順も残します。
役割4:会計・計測
会計・計測役は、売上、購入状態、会員権限、納品、行動指標を照合します。売上金額はブラウザイベントから受け取らず、Stripeの署名済みwebhookを正本とします。計測イベントには匿名ID、セッションID、ページ、商品IDなど必要最小限だけを入れ、生メール、氏名、生IP、生User-Agentは入れません。
この役が出す週次報告は、売上、qualified organic sessions、診断完了、checkout開始、購入、商品別CVR、客単価、会員転換・更新・解約、未納品、CEO関与時間です。数字が取れない時は推測せず未確認とします。
4役を一つの状態機械でつなぐ
| 状態 | 主担当 | 通過条件 |
|---|---|---|
| researching / drafted | 調査・制作 | 根拠・入力・出力が保存済み |
| verified | 独立レビュー | 重大チェックをすべて通過 |
| staged / published / delivered | 公開・納品 | 承認範囲と上限が有効 |
| measured / iterating | 会計・計測 | 結果と次の一変更が記録済み |
状態を飛び越える操作は許可しません。制作役が「良さそうだから公開」、計測役が「売上イベントが来たから権限付与」といった近道をしない設計にします。失敗は最大3回、処理中はleaseを取り、同じdedupe keyを二重実行しません。
人間が持ち続ける責任
人間のCEOは、会社として引き受けるリスクと約束を決めます。価格、契約、個人情報の利用目的、返金、外部アカウントの権限、不可逆な変更はAIへ委譲しません。一方、内部調査、草案、検証、集計まで毎回確認すると90分/週に収まりません。承認は対象、期限、回数、金額上限を持つbatchにし、その境界内だけ自動で進めます。
週次レビューでは判断を三つまでに絞ります。「続ける」「一つだけ変える」「止める」です。役割ごとの会議や長文報告を増やさず、例外と収益指標だけを確認します。
小さく始める配置例
最初の一業務が記事制作なら、調査・制作が実クエリから草案を作り、独立レビューが根拠・重複・表現を確認し、公開・納品が週上限と承認を確認して公開し、会計・計測が流入と診断完了を測ります。4つの常駐プロセスは不要で、一件のjobが状態ごとに必要な役を呼べば足ります。
役割を増やすのは、同じ役の中に利益相反が生まれた時だけです。人数の多さではなく、誰が作り、誰が疑い、誰が外へ出し、誰が事実を数えるかが説明できることを完成条件にしてください。